世界で一番大きな経済連携協定が発効されました
お正月休みの最中である2022年1月1日、RCEPが発効されました。
加盟国はアセアンの10カ国に中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、日本を加えた15カ国ですが、まずは、ブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナム、中国、オーストラリア、ニュージーランド、日本の10カ国で先行発効されました。そして、韓国は2022年2月1日発効の予定となっています。
UNCTADによると
「世界経済の3分の1をカバーする新しい自由貿易協定は、東アジアと太平洋15カ国の関税の90%を撤廃し、地域内輸出を420億ドル押し上げると予想」
ここからは、UNCTADが発表している内容をいかいつまんで和訳します。
2021年12月15日に公表されたUNCTADの調査によると:
新しい「アジア太平洋自由貿易協定」は、経済規模で世界最大の貿易圏を作り出すだろう。ちなみに、世界の主要な地域貿易協定のGDPのシェアの比較は次の通りである。
- 南米の貿易圏メルコスール 2.4%
- アフリカの大陸自由貿易地域 2.9%
- 欧州連合(EU) 17.9%
- 米国メキシコ・カナダ協定 28.0%
出典: UNCTAD事務局
つまり、RCEPは世界最大の自由貿易協定なのです。
関税の90%を取り除く
RCEPでは関税譲歩が中心的な原則であり、ブロック内の関税の90%を取り除きます。RCEP域内の2019年の貿易額は約2.3兆米ドルでした。これがRCEPによって2%近く、約420億米ドル押し上げられます。これは次の2つの要因によるものです。
- 関税率引き下げにより加盟国間の貿易量が上昇することで、貿易額を170億米ドル押し上げる。
- 加盟国間の関税率引き下げによって、非加盟国以外との取引が加盟国間の取引に換わることで、貿易額を約250億米ドル押し上げる。
最も恩恵を受けるのは?
UNCTADの試算では最も恩恵を受けるのは日本であり、輸出額が約200億ドル増加するであろうということです。これは、日本からRCEP加盟国への2019年の輸出額と比較して約5.5%の増加だそうです。
同様に、ほとんどの国に大きなプラスの効果があるだろうと言われています、しかし、カンボジア、インドネシア、フィリピン、ベトナムの輸出は減少するだろうとのことです。
例えば、ベトナムからの中国への輸出品は、日本から中国への輸出に切り替えられると考えられているからです。このようなアンバランスも発生しそうです。
これはどういうことか
RCEPによって日本の貿易額が増えるということは、今まで以上に貿易の重要性が高まるということです。
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