日本の発行済EPA・FTAは、2015年1月で14か国になりました。
それは、オーストラリアEPAがこの1月15日に発効されたからです。
これにより、オーストラリアからの輸入関税率は
今後10年間で95%撤廃されるとされています。
ちなみに、オーストラリアの関税は、そのほとんどすべてが即時撤廃されます。
オーストラリア向けの輸出額は年間1兆7,000億円ほどです、
これが、今後ますます増えることが期待されています。
また、オーストラリアからの輸入は年間5兆円ほどにもなります。
これは、燃料資源や鉱物資源の輸入が多いからではありますが、
生活に密着した牛肉、穀物などの一次産品も多く輸入されています。
今後、日本での関税率が順次削減・撤廃されることで、
輸入も増えることでしょう。
このEPAは今までのEPAと違う「大きな特色」があります。
それは、自己申告制度の『原産地証明書』が導入されたことです。
通常の原産地証明書では、輸出国でオーソライズドされた機関が発行した
原産地証明書のみが適用されます。
しかし、世界で主流になりつつある自己申告制度が適用されたことで、
今後の他のEPAや多国間EPAにおいても変化が見られることでしょう。
しかし、自己申告制度を使用することができるということは、
輸出者、輸入者の責任がより重くなるということです。
もしも、自己申告の内容が間違っていた場合、
『更生の増額請求』の対象になることで、
関税法で規定されている附帯税の対象になり、
『過少申告加算税』、『無申告加算税、『重加算税』等が
課税される恐れがあるということです。
そのためには、今まで以上に関税法、他法令や
その周辺の法律を熟知していなければならないということであり、
『自己責任』が重くなるということになります。
このような附帯税が課されると多額の追徴金が課されます。
『過少申告加算税』では、新たに納めることになった税金(増差税額)の
10%若しくは15%相当額多く納税しなければならなくなるのです。
これは、本来納税すべきものではないため、
輸入者のコスト負担が増大し、キャッシュフローも悪くなるというものです。
このようなことがないよう、
『専門家の指導』を受けられることを推奨いたします。
※ ペルー、メキシコ、スイスとのEPAにおいても輸出者が原産地証明書を
作成する事が出来ますが、経済産業省の認定輸出者の認定を必要とすることから
日本オーストラリアEPAの原産地証明書とは違うものです。
貿易コンサルタント 木村徹